県内最古の木製絵馬
向い天狗絵馬
【向い天狗絵馬】
長宮氷川神社社宝の『向い天狗絵馬』は、旧上福岡市(現ふじみ野市)が 市史編纂事業の一環として、1999年頃までに調査を行ない、まとめたところでは、 現在、県内最古の木製絵馬とされています。
当時の新聞で掲載された記事は下記のとおり。
『1999年6月5日発行 よみうり新聞より抜粋』
上福岡市では、市史編纂事業の一環として市内の神社仏閣の絵馬・奉納額を調査してきたが、そのうち長宮氷川神社の絵馬に「寛永」という文字が書かれていたことがわかり、県内最古の木製絵馬である可能性が高くなっている。
長宮氷川神社の拝殿に掲げられているこの絵馬は、縦68cm、横92cmという大きなもので、天狗が向かい合った絵柄になっている。
向かって上部に「御宝前」、右肩に「奉」、左肩に「納」の墨書が肉眼で認められている。 問題は「奉」の下に記されている「寛永○庚○」の部分で、「永」の文字が不明瞭だったため、赤外線鑑定を行い、これが間違いなく江戸時代初期の寛永年間(1624〜1644 徳川三代将軍家光の頃に当たる)の記年銘を有する絵馬であることが確認された。
ところが、その後に続く十干を示す「庚(かのえ)」は、十年に一回めぐってくるもので、これだけは寛永七年(1630年)か寛永十七年(1640年)のいずれかが該当することになる。
これまで、県内で見つかっている最古の絵馬は、大滝村の三峰神社の寛永十二年のもの。 長宮氷川神社の絵馬が七年のものであれば、県内最古の絵馬ということになる。 しかし、三峰神社の絵馬は銅製であるため、木製絵馬としては、現在のところ県内最古のものと目されている。